誰しも子供の頃、ゾッとするような危ない目に遭ったことがある人は多いのではないか!?
一歩間違えれば人生が変わっていたかもしれない、なんていう子供ならではの体験。
我が子にそんな瞬間が訪れると、親として本当に気をつけなければと身が引き締まるものです。
子供は本当に何をするかわからない
私にも忘れられない体験がひとつある。
小学校中学年の頃。
買い物を終え、スーパーの駐輪場をでた私は、自転車で勢いよく一般道につながる坂道を下っていった。
そして一般道に合流、と思いきや、スピードを出しすぎていたため曲がりきれずに車道の真ん中に飛びだしてしまったのである。
運悪く正面から1台の車が迫ってきていた。
慌てて急ブレーキをかけたがわずかに止まりきれずに、急停止した車にぶつかる形で止まったのだった。
慌てた顔で車から飛びだしてきた中年の女性が「大丈夫?」と声をかけてくれたが、
内心焦りまくりの私は、ぺこり、と頭を下げて、そのまま走り去ることしかできなかった。
一歩間違えば死んでいてもおかしくない話である。
だが、このようなゾッとした体験をした人はすくなからずいるのではないか、と思う。
ダウン症の長男には3度ゾッとさせられている
今年、支援学校に入学した長男はダウン症であり、知的障害もあるため、7歳ではあるが知的な発達は2歳に満たない程度である。
どんな子供でも小さいうちは目を離せないが、長男の場合はさらに何をするかわからないので、よけいに気をつけなければならない。
例えばである。
外出中に妹が走りだしたとする。
ある程度離れると、多少不安になるのかこちらを振り返り、あまり距離が開くと戻ってきてくれる。
だが長男の場合は、何かが気になり走りだすと、一度も振り返ることなくひたすら走り続ける。
その先に道路があって車が走っていたとしてもである。
1度目は複合商業施設でゾッとした
2年ほど前のことである。
おもちゃ屋の出口でUFOキャッチャーの機械が気になってしまった長男。
ガチャガチャ触って帰る気配がない。
仕方ないので抱っこをして連れだそうとしたが、それが嫌だったため軽いパニック状態になった長男が突然お店の外に走りだしたのである。
急いで追いかけた私の頭の中に嫌な予感が広がったのには理由がある。
走っていく長男の先には、下りの階段が、洞窟のようにぽっかりと暗い穴を空けていた。
すると案の定、長男は暗い穴に勢いよく落っこちていったのである。
ほぼ同時に耳をつんざくような泣き声があたりに響き渡った。
階段に横たわったまま泣き続ける長男。
幸い1番下までは転がらず、7、8段目あたりで止まっていた。
急いで抱きあげると、どこからも血も出ておらず、大きな怪我もしていなかったので(3箇所に大きなアザができていたが)、ほっと胸を撫でおろしたものだった。
いまでも階段に落っこちていく長男の姿を思いだしゾッとすることがある。
2度目は我が家でゾッとした
奥様が家の裏側で草むしりをしている時だった。
リビングには私と長男と妹の3人。
長男はテレビでYouTubeを見ていた。
私はといえば、妹が以前に買った知育菓子を一緒に作ろうと言うので、カラフルな粉と水を混ぜたり、それを型に流しこんだり、慣れない作業に妹と一緒に悪戦苦闘していたのだった。
するとである。
ふと気づくとテレビを見ていたはずの長男がいない。
あれっと思い、「お兄ちゃんは?」と妹に尋ねるも「知らないよ」と言う。
嫌な予感が脳裏に広がった。
急いで洗面所、トイレを覗いたが見当たらない。
玄関を見ると、鍵は閉まっていた。
鍵が閉まっていることにすこしホッとし2階へ。
やはり見当たらない。
猛烈に嫌な予感がし、奥様の元へ。
長男がいないことを伝えると、奥様はドアが開いた音は聞こえなかったという。

鍵は閉まってたから家の中にいるとは思うんだけど

私は鍵閉めてないよ
頭の中は❓マークでいっぱいだったが、とりあえず奥様が「近所を探してくるから下の子を見てて」と言って走りだした。
待っていたのは時間にして5〜10分ほどだろうか。
結論からいうと、やはり長男は家の外へでてしまっていた。
では、なぜ玄関の鍵が閉まっていたのか?
冒険を終えて機嫌良さげにニコニコしている長男を抱えて戻ってきた、あきらかに不機嫌そうな妻。
トリックを見破った名探偵コナンのように静かに話しはじめた。

まず長男は着ていた服をお出かけ用の服に着替えた。
そして私のカバン(キッチンの床に置いてあった)を両手で抱え、玄関をでた。
カバンの中には鍵が入っているからボタンを押して鍵を閉めた。
玄関は電子キーなので、鍵の入ったカバンを持っている場合、ボタンを押せばロックできる。
長男は私たちを見て外出する時は鍵を閉めるということを覚えていたのだろう。
そして妻の腕の中にいる長男は確かに部屋着から外出用の服に着替えていた。

家を出た長男は通りに向かって歩いた。
そして道路の真ん中をカバンを抱えてふらふら歩いていたみたい。
するとたまたま前と後ろから2台の車が通りかかった。
2台とも子供連れの女性が乗っており、何かおかしい、と思った2台が止まってくれて長男を保護してくれた。
もしも車が通りかからなかったら…‥、もしも長男を見つけてくれた人が急いでいて保護してくれなかったら……などなど、
一歩間違えたら恐ろしい事態になってたかもしれないと考えると、背筋が凍った。

長男を保護してくれた女性たちは車に子供を待たせていたので、
たまたまスイミングクラブのバスを待っていた数人の女性たちに長男を任せて戻っていった。
そして女性たちが周囲を探していた時にちょうど妻が姿を現し、長男と出会えたのだった。
長男を抱きしめていた妻は、長男を助けてくれたとても親切なみなさんにすごく感謝していた。
一歩間違えたらとんでもない事態になっていた可能性があったのだから。
そして名探偵コナンのように謎を解いた妻のまなざしは怒りに満ち満ちていた。
犯人はこの中にいる!
妻の射るような視線がそう語っていた。
妻が私に向けてこんなにも激しい怒りを向けたのははじめてだった。
それはそうである。
私が知育菓子に夢中にならずに長男をしっかり見ていれば、こんなことにはならなかったのだから。
その後、私は妻にこってりしぼられたのだった。
いまでも長男の姿の見えなくなったリビング、そして妻の凶悪犯を見るような目、を思いだしゾッとすることがある。
3度目は学校からの連絡でゾッとした
長男が支援学校に通いはじめて3ヶ月ほど過ぎた頃のこと。
長男の担任の先生から謝罪の電話が妻の元にきた。
その日は校内を散策する授業だったのだが、散策中に長男がいなくなったという内容だった。
8人の生徒を5人の先生で見ていたという。
散策を終えて教室に戻り、その後長男がいないことに気がついた。
慌てて防犯カメラを確認すると、校門から出ていく長男が映っていたのだった。
私は、長男が1人で校門から出ていく姿を想像すると恐怖で涙が出そうになった。
なぜなら学校の前の細い通りは、周辺の渋滞する道路の抜け道として使われていて、ダンプや自家用車がけっこうなスピードで通る道であり、近くには川も流れている。
長男にとっては危険の詰め合わせパックなのである。
先生によると普段は校門は閉まっているという。たまたまスクールバスの運転手に臨時の人がいて、その人が校門を閉めるのを忘れていたのだ。
先生が長男を見失う、というミスに、スクールバスの運転手が校門を閉め忘れる、というミスが重なった結果だった。
校外学習から戻ってきた中学部の先生たちが長男を見つけてくれ、
「あの子は小学部の子じゃないか」
と学校まで連れてきてくれたのは、偶然、というより、奇跡、と言っていいだろう。
誰にも見つけてもらえなかったらと考えると、まさに九死に一生を得たという奇跡的な出来事なのである。
妻も私も、5人で8人を見ていて見失うかね、と驚いたが、今後、まだ何年間もお世話になるのであまり強くも言えず、
ある意味、学校が始まってすぐにこういうことがあると今後は気をつけて見てくれるだろう、と前向きに考えることにしたのだった。
いまでも学校から妻に電話かかかってくると、この件を思い出しゾッとすることがある。
怖い話が続いたので最後にほっこりする話を
長男は支援学校に通いはじめたのと同時に放課後デイサービスにも通いはじめた。
帰りはデイサービスの方が家まで送ってくれるのだが、最近だいぶ慣れたせいか、車の中でスタッフさんのスマホを触ったり、車内の色々なものを取ったりするという。
そこでスタッフさんが叱ったところ、長男は、コホン、コホン。コホン、コホン。と嘘の咳をして具合の悪いフリをする、と笑っていた。
どこでそんな技を覚えたのだろうと私も笑ってしまった。
妹ちゃんにも同じような節があり、
ある日、朝起きてリビングに行くと、私に気づいた妹ちゃんがつかつかと寄ってくる。
私の手を取り食卓に座らせると隣に座り、私の手を両手で握ったまま、
「パパ。お化粧の道具が壊れちゃったの。新しいの買って欲しい(妹ちゃんは奥様の真似をしておもちゃの化粧道具を使ったりする時がある)」
「今日お休みでしょ。一緒に買いに行こう」
と両手を握りしめたまま顔を寄せてくるのである。
まるでテレビのコント番組で見たことのある、優香扮するキャバクラ嬢が、客の志村けんに高級品をおねだりするような雰囲気だった。
恐るべき4歳児である。
いったいどこでこんな技を覚えたのだろうと、妻と顔を見合わせてしまった。
何はともあれ本当に子供は何をするかわからない。
本当に気をつけなければならない。
アイキャッチイラスト:いらすとや


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